4.ライターのように撮るためのPHOTO LESSON
旅先や特別な場所ではなく、主に自宅周辺のストリートを撮って、
数々の名作を生みだしていたソール・ライター。写真によく登場する
モチーフやテクニックをお手本に、同じように撮ってみよう!
Point1 ポイントカラー
<ライターの作品>
Footprints 1950
ソール・ライター《足跡》
1950年頃 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵 ⒸSaul Leiter Estate
<撮ってみました!>
焦点距離70mm/f5.6/1/160秒/ISO500/Photo:Miho Kakuta
全体がシンプルな色味の背景の一部分に、明るい1色を入れることで印象深い作品になるポイントカラー。グレーや黒や白など暗めの色合いの中に、赤や黄色などの強い色味を少しだけ入れるのがコツです。また、人物の顔をはっきり写さない写真が多いのもライターの特長。雪の日の赤い傘や、ワンカラーでコーディネートしたおしゃれな人物、風船を持った人などを見つけたら、余白をたっぷりとって撮影してみよう。
Point2 ガラス越しの風景
<ライターの作品>
Walking 1956
ソール・ライター《ウォーキング》
1956年 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵 ⒸSaul Leiter Estate
<撮ってみました!>
焦点距離105㎜/f4/1/40秒/ISO1600/Photo:Miho Kakuta
ショーウィンドーや車のフロントガラス、部屋の窓に映るガラス越しの風景も、ライターが愛した被写体のひとつ。リアルに見る風景とは違って、反射して重なりあうもうひとつの世界がそこにはあります。ガラスに映る風景が美しい場所を探して撮影してみましょう。撮影者が写り込むことも多いので、セルフポートレイトのように撮るか、写らない立ち位置を探すか、微調整が必須。
Point3 覗き見る
<ライターの作品>
Woman Waiting 1958
ソール・ライター《待つ女》
1958年 発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵 ⒸSaul Leiter Estate
<撮ってみました!>
焦点距離70㎜/f4/1/1000秒/ISO2500/Photo:Miho Kakuta
「何かが起こっている」ような、ミステリアスな物語が生まれる「覗き見」の効果。被写体と対峙していないことで、撮影者の視線がより強く感じられます。被写体より少し高い位置から見下ろす角度で撮影し、被写体と撮影者の間にもうひとつ別の被写体を入れることで撮影者の立ち位置を示すのがコツ。さらに効果を強めるにはお手本のように手前の被写体を少しぼかしてみましょう。
Point4 1/3構図
<ライターの作品>
Through Boards 1957
ソール・ライター《板の間から
(ニューヨーク)》 1957年
発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵 ⒸSaul Leiter Estate
<撮ってみました!>
焦点距離70㎜/f4/1/60秒/ISO1000/Photo:Miho Kakuta
写真にはさまざまな構図のパターンがありますが、ライターの写真でよくみられるもののひとつが1/3構図。写真を縦か横で3分割にし、その1か所に被写体を配置する方法です。この地下鉄で撮影した作例写真では中1/3部分に被写体を入れて撮影しました。1/3構図にすると写真のバランスが良くなり、グラフィカルな印象も与えます。主役以外の要素はなるべくシンプルにしましょう。
Point5 雨粒を撮る
<ライターの作品>
Walk with Soames 1958
ソール・ライター
《ソームズとの散歩》1958年
発色現像方式印画
ソール・ライター財団蔵 ⒸSaul Leiter Estate
<撮ってみました!>
焦点距離105㎜/f4/1/80秒/ISO1600/Photo:Miho Kakuta
ライターが好んで撮っていた雨粒や水滴。玉ボケをつくってアクセントにしてみましょう。玉ボケをつくる主なポイントは3つ。①雨粒のついた手前のガラスと人工的な光のある背景の距離が離れた場所を選ぶ(人工的な光が玉ボケとなります)。②カメラの設定をAモード(絞り優先)にして絞りを開く(f値を小さくする)。③焦点距離は望遠側にして撮る(㎜数を大きくする)。
目次
1. ソール・ライターを探しに ニューヨーク写真旅
2. 写真家ソール・ライター 伝説のストーリー
3. ライターゆかりの地に行ってみよう
4. ライターのように撮るためのPHOTO LESSON
5. 写真好きのためのニューヨークの歩き方
6.デルタ航空でニューヨークへ!