3.ライターゆかりの地に行ってみよう

Leiter’s place of memories

ソール・ライターが暮らし、名作を生んだ街をカメラと共に歩く。

ライターの才能をいち早く認めたギャラリーや美術館も訪れた。

 

1.East Village

イーストヴィレッジ

 昔から多くのミュージシャンやアーティストが暮らしていたイーストヴィレッジ。ライターのアトリエがあったアパートにも、大勢のアーティストや評論家などが住んでいた。均一な光の入る北向きの大きな窓は、当時家主だったセント・マークス(ニューヨーク最古の教会)の神父さんがアーティストのために取り付けたのだそう。

 

ソール・ライターのアパート道向かいには、写真家のダイアン・アーバスが住んでいた

 

セントマークス教会

 

1950年代はビート族、60年代はヒッピー、70年代はパンクス、80年代はアナキストたち…と時代によって街を闊歩する人たちも変わってきた。いまも若い人たちは、タトゥーを入れたり、ピアスの穴をあけるためにここへ来るのだとか。6070年代は、ポーランド系の人たちが集まるカフェがアンディ・ウォーホルやルー・リードのたまり場で、人通りも多かった。70年代前後はエレクトリックサーカスというナイトクラブが流行。パンクやロック好きの人は、ミュージシャンゆかりの地巡りとしても楽しめそう。日本の原宿のような場所かもしれない。

 

 

街を歩けば、ライターの作品が撮られたスポットが見つかる。なんでもないベンチや階段。

 

 イーストヴィレッジの魅力は、とにかく多国籍なところ。セント・マークス・プレイス付近には日本のお店がたくさん。「パンヤ」という名のパン屋。「蕎麦屋」という名の蕎麦屋。大衆居酒屋「ケンカ」。カラオケに日系スーパー「サンライズ」も。モロッコ、ウクライナ、ベネズエラ、イタリア、スリランカなどのカフェやレストラン巡りも面白い。

 

ライターの両親はポーランド出身。ポーランドのお肉屋さんはなじみの店。

 

ウクライナ料理のヴェセルカ。行きつけ。壁画は当時と違うが作品にも登場。

 

アンティークショップや古着屋もある。エジソンが通ったという名門大学クーパー・ユニオンはガラス張りの建築デザインが斬新。ライターがよく行っていたというストランドブックストアのトートバッグは、NYC土産の定番なので忘れずにゲットしよう。ライターの足跡を辿るように、カメラを持って街歩きしながら写真を撮るのが楽しい!

 

ストランドブックストアは本好きライターの天国のような場所。

 

 

2.MoMA

ニューヨーク近代美術館

ミッドタウン53丁目の街なかにある、ニューヨークでも特に人気の美術館MoMA。ライターが写真をはじめて間もない1953年、同美術館の写真部長であったエドワード・スタイケンに認められ、新進作家展『Always the Young Stranger』に選出された。この後、ライターはファッション写真家として活躍するが、2006年に写真集が出版されるまで、作品が大きな注目を集めることはなかった。現在このモダンアートの最高峰の美術館に、カラー作品4点とモノクロが1点収蔵されている。常設で展示されているわけではないが、見られる機会もあるはずだ。

 

上の4点のカラー作品とこのモノクロ作品が収蔵作品。

 

11West 53St, NY, NY10019

www.moma.org

 

 

3.Howard Greenberg Gallery

ハワード・グリーンバーグ・ギャラリー

MoMAから徒歩5分。フラービル14階にある1981年創設のギャラリー。ウィリアム・クラインやアンリ・カルティエ=ブレッソンなど芸術写真としてのフォトジャーナリズムとストリートフォトを一貫して扱っている。ライターの作品が掲載された1992年出版の『The New York School』を手掛けたキュレーターに紹介され、作品を取り扱うようになった。「こんな構図で撮った人は他にいないし、色彩感覚が非常に優れていました。彼の作品には看板や車など当時の情景が入っていますが、時代を超えた美しさがあります」(ハワード・グリーンバーグ)

 

雪や雨の日のグレーを多用して写真を構成していた。

 

41 E 57th St #14fl, NY,

NY 10022

www.howardgreenberg.com

 

 

4.Whitney Museum of American Art

ホイットニー美術館

展示されているソール・ライターの作品「The Village 1947

2015年、チェルシー地区にリニューアルオープンしたホイットニー。レンゾ・ピアノ設計のガラス張りでモダンな建築デザインが目を引く。ハイライン(廃墟だった貨物列車の高架橋を改築してつくられた全長2.3kmの空中公園)とハドソン川の間に位置するロケーションは抜群で、美術館周辺は撮影にもお勧め! 美術館のテラスからは街の風景が一望できて、ハドソン川の向こうに小さく自由の女神像も見られる。ライターの作品は7点収蔵され、42日(日)まで開催されているコレクション展ではそのうちの1点が展示されている。

 

古い建物と新しいビルが入り乱れる街並みをテラスから撮ろう。

 

きれいな自然光が入るスタジオカフェ。鑑賞のあとはひと休み。

 

99 Gansevoort St, NY,NY10014

whitney.org

 

目次

1. ソール・ライターを探しに ニューヨーク写真旅
2. 写真家ソール・ライター 伝説のストーリー
3. ライターゆかりの地に行ってみよう
4. ライターのように撮るためのPHOTO LESSON
5. 写真好きのためのニューヨークの歩き方
6.デルタ航空でニューヨークへ!

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