2.特別な体験は早起きから 朝のパワフル・ハノイ
ハノイの朝は早い。朝6時、旧市街の南にあるホアンキエム湖に行けば、 湖の周りで老若男女問わず大勢の人々が思い思いに体を動かしている。ここは地元民にとっての憩いの場なのだ。 太極拳、ジョギング、バドミントン、 最近は自転車でサイクリングする人も増えている。訊けば、早朝5時前から始めている人も多いという。ホアンキ エム湖はハノイの象徴であり、中央の湖島には「亀の塔」という歴史ある塔が建っている。その凛とした姿と朝靄の組み合せで神秘的な感動に浸れるが、 体を動かしている人々やエアロビのポ ップな音楽(なかにはなぜかクリスマスソングも)が流れていると、しだいに陽気な気分になってくる。
湖の周りは1.75㎞あり、徒歩 30 分ほど。ハ ノイの人はここでひと汗かいたら、お茶を飲んだり朝ご飯を食べに行ったり、 平日なら出勤したりする。だから飲食店の開店も早い。早起きして散策したら、さらりと食せるフォーをいただこう。また旧市街から西に徒歩 15 分ほどのホーチミン廟はハノイでも重要な意味を持つ場所であり、厳粛な雰囲気に包まれている。正面のバーディン広場でも人々は朝から体を動かしているが、 毎朝6時の衛兵による国旗掲揚も見逃 せない。もっとパワフルなハノイを感じるなら、陽が昇る前から行われる花 市場へ行ってみよう。色とりどりの花と人々の活気あふれる模様は、ここでしか見られない。
花文化を支える 早朝の花市場へ
ベトナムでは花を家に飾ったり贈ることが多く、花を愛でる習慣がある。 その花文化を象徴するのが花市場で、早朝5時にはすでに活気に満ちる。 バラ、菊、ひまわり、ガーベラ、蓮など種類も豊富。蓮の葉で蓮の花をブーケのように束ねているのも新鮮。花柄の服を着た人が多かったのも面白い。仕入れで忙しい場なので、撮影に夢中で邪魔にならないように。
花を原付に積み上げる様子もベ トナムならでは。旧市街から車で約15~20分、ノイバイ空港から羽田行きの便は朝8時15分発(※時期により異なる)があるため、帰国前の道中に立ち寄るのもお勧め。
やっぱり食べたい! 本場の朝フォー
ホアンキエム湖から徒歩5分ほど、ハノイ大教会近くにあるフォー屋「フォートゥルン」。地元民から愛され、いつも混雑しているのが美味さの証拠。牛肉を載せたフォーを提供しており、優しい味のスープにしっかりとした牛肉の味が体に染み渡る。辛味噌やライムを入れて自分好みの味にも。揚げパンをスープに浸して食べるのもツウ。
フォートゥルン
住所:34 Au Trieu St, Hoan Kiem Dist.
時間:6:00~21:30
堂々たる行進に圧倒 国旗掲揚式
ベトナム建国の父として敬愛されるホーチミンが眠るホーチミン廟の前には、正方形に区切られた芝生が広がり、間は散歩道のバーディン広場がある。そこでは毎朝6時少し前に大勢の衛兵が足並みを揃え、国旗を掲げながら整然と入場。そして6時ぴったりに、国歌をバックにゆっくりと国旗が掲揚されるのだ。その威厳ある光景は、一見の価値あり。
バーディン広場
住所:Hung Vuong St, Ba Dinh Dist.
時間:6:00
PHOTO POINT!
ホアンキエム湖に建つ亀の塔。手前に黄色い花をボカし入れ て画面に色味を加え、 ピントを合わせた塔を際立たせた。
その場の雰囲気がわかるよう周りを入れて撮影。 あまり近くに寄れない状況では望遠レンズで構え、一瞬の表情を待とう。
photo:Junichi Shimizu
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